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酵素

潜在酵素の量は生まれつき決まっている
 私たちの体は食物から取り入れた栄養分をもとにさまざまな活動を行って、生命を維持しています。そのすべての生命活動に関わっているのが酵素です。酵素は、呼吸、消化、吸収、合成、解毒、排泄など体内の生体反応のほとんどにかかわって反応をスムーズに行えるようにしています。酵素がなければ生命活動はストップしてしまいます。
 またこの酵素を構成したり手助けしたりしているのが補酵素といわれるビタミンやミネラルです。ビタミンやミネラルが無いと酵素系は円滑に動かず代謝がスムーズに行われなくなります。
 このように大切な酵素ですが、その1つ1つは1億分の1センチというような極小サイズで、ミネラルのまわりにタンパク質を巻き付けた構造をしています。酵素には3000以上もの種類があり、人間が体内に持っているのはそのうち約1000種類です。1つの酵素は1つの働きしかすることができません。酵素はどれも、温度が35℃から40℃、体液が酸性でもアルカリ性でもないほぼ中性で、酵素の働きを助けるビタミンやミネラルがバランス良く存在している状態で活発に働きます。
 以前は、酵素は体内で無尽蔵に生産されるもののように考えられていたのですが、最近の研究でそうではないことがわかってきました。酵素をつくり出す能力は私たち一人一人が生まれつき持っている遺伝子によって決まっており、一生の間につくられる酵素の量も決まっているのです。これを「潜在酵素」と呼んでいます。潜在酵素は酵素の原材料のようなもので、ここからそれぞれの働きに応じた酵素が分化していきます。

健康の決め手のひとつは消化酵素の節約
 潜在酵素からつくられる酵素を働き方という面から見ると、大きく分けて消化酵素代謝酵素の2つに分けることができます。消化酵素は口から入ってきた食べ物を分解し、栄養として吸収できる状態にします。代謝酵素は吸収した栄養をエネルギー源に変えたり、骨や筋肉をつくったり、解毒、排泄、免疫などの生命活動に役立てます。消化→代謝という、この営みが順調に繰り返されることで、私たちの健康は保たれているのです。
 ところが、先に書いたように潜在酵素の持ち分は一人一人決まっているので、消化酵素を多量に使うと、代謝酵素に回される潜在酵素の量が減ってしまいます。酵素の不足はあらゆる面でエネルギー活動を滞らせるため、老化や病気を呼び込むもとになるのです。消化酵素をなるべく浪費しないことが、代謝酵素を確保して健康を守るコツだと言えます。
 消化酵素を節約するには、暴飲暴食や過労、ストレスを避けることが大切です。もう1つの方法は、食物やサプリメントで外から補充することです。野菜や果物、肉、魚など、食べ物にはそれ自体を消化する消化酵素が含まれています。問題は、酵素は熱に弱いという点で、48℃以上の熱を加えると働きが消えてしまいます。煮たり焼いたり電子レンジで温めたりすると、食品の酵素は失われてしまうのです。加工食品やインスタント食品の多い現代人の食生活では、食物の酵素を体に取り入れるのが難しくなっているのが現状です。白米や白い小麦など、精製された食品も酵素を含んでいません。
 サプリメントで酵素を補うと、その酵素の働きに応じて、消化不良を解消したり、活性酸素を分解したり、新陳代謝を進めたりします。新陳代謝がよくなって基礎代謝が高まるとエネルギーの消費量が増えるので、ダイエットの目的にも酵素が使われています。
 生の野菜、果物、魚、肉のほかに、発酵食品(みそや納豆、漬物、ヨーグルト)にも酵素が含まれていて、消化を促す働きをしてくれます。

消化酵素
 私たちが口にする食べ物や飲み物を消化と分解を促進するのが消化酵素です。1つの酵素は1つの働きだけを担当しています。人間の体内で分泌されるものと、そうでないものとがあります。体内でつくられる酵素も、飲み過ぎや食べ過ぎ、体調不良のときなどは消化器官の機能が落ちるため分泌量が減り、外から補充することが欠かせなくなります。ストレスや老化によっても消化酵素の分泌量が少なくなるので、外から補う必要が出てきます。
 洗濯用の洗剤に酵素が配合されているというCMを目にしたことがありませんか?この場合の酵素も消化酵素の一種です。タンパク質の汚れはタンパク質を分解する酵素が、油汚れは脂肪を分解する酵素が作用して取り除き、スッキリきれいにしてくれるというわけです。

アミラーゼ
 唾液と、すい臓が分泌するすい液に含まれています。炭水化物(でんぷん)をまず口の中で唾液のアミラーゼが分解し、小腸ですい液のアミラーゼがさらに分解してブドウ糖に変えます。ブドウ糖は私たちのエネルギー源になります。
 乳糖を分解するラクターゼ、麦芽糖を分解するマルターゼ、さとうきびとビーツの糖を分解するサッカラーゼは、どれもアミラーゼの一種です。

プロテアーゼ
 タンパク質をアミノ酸に分解する酵素。プロテアーゼのなかにはペプシン、トリプシン、キモトリプシンなど、いくつもの種類が含まれています。胃液、すい液、腸液に含まれていて、胃と腸で働きます。これらの酵素が働かないと、健康な皮膚や強い骨格、血液、強くしなやかな筋肉がつくられなくなります。

リパーゼ
 脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する酵素。胃液とすい液、食べ物の脂肪に含まれています。分解されて吸収された脂肪は、皮膚の細胞の栄養となり、打ち傷や打撃から体を守ったり、感染性のウィルス細胞を撃退したり、アレルギー状態を避けたりするために使われます。

ラクターゼ
 アミラーゼの一種で、乳糖を分解する酵素。ほとんどの成人の日本人は、体内で乳糖を処理する能力が低い「乳糖不耐性」で、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしたり、下痢したりしてしまいます。世界的にみても成人してからもこの能力を持ち続けるのは北欧の一部の人種だけです。成人してから乳製品を食べる習慣がなかったために、乳糖を消化する酵素のラクターゼが体内でつくられなくなったからです。牛乳を飲みたい! ミルクたっぷりのアイスクリームが食べたい! でもおなかが心配…。そんなときは、ラクターゼをサプリメントで補ってみてはいかがでしょう。
 但し、乳糖不耐性だと牛乳アレルギーを伴っていることが多く牛乳を飲むと鼻づまり、下痢、便秘などの症状を起こすケースが増えています。これらの場合は、牛乳や乳製品をやめるしかありません。多くの米国の栄養学者は、牛乳を飲んでもカルシウムを補給するどころか逆に流出させると主張します。骨粗鬆症の原因とさえ言われています。多く含まれるリンとタンパク質のカゼインが体内のカルシウムを流出させてしまうからです。この場合は、代替物として豆乳がお勧めです。
 
セルラーゼ
 人体には存在しません。食物繊維の1つであるセルロースを分解して、植物成分の消化を助ける酵素です。セルロースはでんぷんと同じように、分解するとブドウ糖に変わって吸収されます。牛やヤギなどの草食動物はでんぷんもセルロースも分解することができますが、人間はでんぷんしか分解することができません。草食動物と違って、セルラーゼは持っていないからです。

食物酵素
 食物の中に含まれていて、私たちの体内で消化を助ける働きをしてくれる酵素です。食後のデザートとしてパイナップルなどの果物などは、酵素を取り入れる格好の食材です。またサプリメントはこれらの食物酵素を効率よく補うことができます。

パパイン(植物性)
 パパイアに含まれている酵素で、タンパク質を分解します。胃腸の働きが衰えがちな高齢者や、体調不良の方にはうってつけです。筋肉にたまった乳酸の分解を促し、疲労回復を助ける働きもあります。

プロメライン(植物性)
 パイナップルの果汁や葉に含まれる酵素。タンパク質を分解します。消化を助けるほかに炎症を抑える作用があり、優秀なスポーツサプリメントとしてこのところ注目を集めています。
 けがによる痛みや炎症を和らげたり、トレーニング後の筋肉回復を早める働きがあります。天然の抗炎症剤が含まれており、ねんざやその他のけがによる痛みを軽減するのに用いられています。従来、非ステロイド系炎症薬(NSAID)がよく使われてきましたが、NSAIDは炎症の原因になるプロスタグランジンというホルモンを抑制することで炎症を抑える薬です。ところがプロスタグランジンには胃壁を保護するという役割もあるため、NSAIDを使うと胃の不調や出血性の潰瘍を起こすのです。
 プロメラインの場合は炎症を抑えるしくみが違っています。腫れの原因になるフィブリノーゲンという物質を分解するプラスミンの生成を刺激することによって炎症を抑えますから、胃腸への副作用が起こりません。フィブリノーゲンは血液を固まらせる物質で、けがをしたとき出血を止めるという重要な働きがあります。しかし血液中のフィブリノーゲンが増えすぎると、血管の中で血液の固まりができやすくなり、心臓病の原因になってしまいます。
 たばこを吸う人はフィブリノーゲンが増えて、心臓発作の危険性が高まると言われます。

パンクレアチン(動物性)
 牛や豚のすい臓から取り出される酵素です。食べ物として動物の内臓を生で食べるのには慎重さが必要ですが、サプリメントなら安心な上、効率よく摂取することができます。炭水化物を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を消化するリパーゼをそれぞれ活性化する働きがあります。
 パンクレアチンをサプリメントで補給すると、体内にあるすい臓酵素の働きを分担してくれるので、アレルギー体質の方、すい臓の弱っていたり消化力の落ちている方、老化で酵素の量が落ちている人にぴったりです。但し必要が無いのに摂るとすい臓の元から持っている能力を抑えてしまいますのでご注意を。

代謝酵素
 細胞内のさまざまな化学反応を促進する酵素。エネルギーの生産や解毒を助けます。私たちの体のすべての部分は、代謝酵素なしには働くことができません。代謝酵素の中でとりわけ重要なのはSOD(スーパーオキサイド・ジムスターゼ)で、その働きから「抗酸化酵素」と呼ばれています。

SODカタラーゼ、グルタチオンペルオキシターゼ
 私たちの体内にあるあらゆる細胞でつくられるほか、いろいろな食べ物に含まれていて、活性酸素を分解してくれる酵素です。SODは活性酸素を過酸化水素に変え、カタラーゼとGPX(グルタチオンペルオキシダーゼ)というパートナーの酵素が過酸化水素を水と酸素に分解して無害にしてくれます。最近疲れやすい、年齢を感じるという人は、SOD不足かもしれません。
 大麦の葉、小麦の葉、ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツ、その他の緑黄色野菜にはSODが豊富に含まれています。ただし、熱を通すとSODの活性は失われてしまうので、生の状態で食べなければなりません。これらの野菜を原料とするサプリメントなら、効率よくSODを補うことができます。
 SODは亜鉛、銅、マンガンなどの必須ミネラルがないと、働くことができません。SODの活性は加齢と共に衰えるので、食事で補うか、サプリメントで補充することが重要になります。最近は老化を防ぐサプリメントとして人気を集めています。


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